山に癒されて

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涸沢

今年の黄金週間のテント山行は涸沢。
残雪期の涸沢を訪ねるのは久しぶりです。
当初の計画では、涸沢のカール底で幕営、コンディションをみながら奥穂高岳への往復を目論んでいました。
このところ、雨男になっている小生ですが、事前の週間天気予報はバッチリ。
予定通りの行動ができると喜んでいたところ、2、3日前になって山行初日の28日(土)の空模様は芳しくありません。かといって、3連休の最後の日は仕事の関係で山行を日延べする訳にはいきません。
金曜日の深夜、P&Rの沢渡で仮眠していると早くもフロントグラスに雨が当たり始めます。
やっぱり雨男のようです。

上高地から梓川沿いの道では時々薄日も射すものの、横尾から横尾谷に入って、夏の間、本谷橋の架かっている付近で右岸側に渡る頃からは強風と雷を伴った雪模様に。次第に吹雪状態に変った降雪は宵の頃まで続きます。
視界がきかない中、木の枝につけられた赤テープや先行者の僅かな踏み跡をたどって高度を上げます。

奥穂を朝のうちに往復するため午前3時過ぎに起きると、上空は満天の星空。
昨日からの降雪と地吹雪でテントは半分近くまで雪に埋まり、2人用のテントも中央部に人間ひとりのスペースを確保するのがやっとのほど押し潰されています。
明るくなって、カール底を取り巻く涸沢の大伽藍、真っ白な雪の壁が不気味に迫ります。
サブザックにアイゼン、ピッケルを用意したものの、大量の新雪に様子を見ているうちに、朝日が涸沢岳をモルゲンローロに染めたあと、濃紺の空を背景に純白の穂高の峰々に変っていきます。
新雪のラッセルはきつそうだなどと考えていると、太陽が射し始めるにつれて沢筋のあちこちで表層雪崩の発生が目の前で何本も確認できます。
ここは安全登山を優先すべき。

快晴の春空を背景に広がる北アルプスの景観を楽しんで下山することにします。


e0014441_1158753.jpg上高地から横尾まで梓川沿いのトレイルをたどります。葉を落とした河畔の疎林ですが、ケショウヤナギの梢には春の気配が感じられるようです。


e0014441_1225254.jpg無雪期の本谷橋付近から涸沢谷側に入る頃から雷を伴う吹雪状態に。翌日、天気が回復して通ったときシラビソやダケカンバの疎林の快適なトレイルですが………。途中で出会った涸沢に向う登山者のパーティ、先行者の踏み跡や赤テープを頼りに黙々と歩きます。


e0014441_12112178.jpg昨日吹き荒れた雪もあがりました。夜明け、まずは涸沢のシンボル、涸沢岳のモルゲンロートで圏谷の一日が始まります。


e0014441_12155491.jpg涸沢カールを取り巻くかたちで個性的な3千㍍峰の揃い踏みです。吊り尾根で奥穂高岳とペアになるのが前穂高岳。


e0014441_12203380.jpg奥穂高岳。涸沢カールを取り囲むピークの中で地味な存在ですが、標高3190㍍は日本3位の高峰です。


e0014441_12232887.jpg涸沢岳。積雪期の登山ルートは夏道であるザイテングラートに並行する小豆沢を直登します。


e0014441_12262795.jpg北穂高岳。夏道となる南稜の右に広がる北穂沢が積雪期のルート。北穂沢では昨日の新雪が表層雪崩となって眺めている間にも何本も発生する様子が確認できます。


e0014441_12321635.jpg雪の上がった29日、涸沢カールには色とりどりのテント村が出現します。例年はもっと広い範囲にテントが張れますが、今年は大規模な雪崩があったようで、巨大なデブリの末端が風除けになる場所に幕営。


e0014441_12362437.jpg雪の斜面に枝を広げるダケカンバは現代アートの作品のよう。


e0014441_12382415.jpg涸沢カールからは屏風岩などが迫る横尾谷の正面に大天井岳や常念岳などのピークを持つ常念山脈が連なります。


e0014441_1241829.jpg晴れ渡った春空のもと、登山者の足取りも軽快です。


e0014441_124322.jpg黄金週間のこの季節、涸沢ヒュッテのテラスに立てられる鯉幟、楽しい目印です。鯉幟の鯉にとっても最高の舞台、青空を雄大に泳いでいます。


e0014441_1246264.jpg吊り尾根直下を歩く登山者。春山好日。


e0014441_12502194.jpgSガレ付近から振り返った前穂高岳。


e0014441_12522960.jpg屏風岩は横尾谷の門のような存在。この巨大な岩を見上げ、登山者たちは穂高にやってきたことを少々緊張感も交えて感じるゲートです。そして、下山の際、またいつか訪問しますと挨拶しながら通過するところです。

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by genki_hirokun | 2007-05-01 10:47